福島第一原子力発電所
廃炉への歩み

福島第一原子力発電所では、現在、1~3号機の使用済燃料や燃料デブリの取り出しへ向けた方法が検討され、ガレキの撤去や原子炉建屋の解体などが進められています。最終的な廃炉完了までには30~40年はかかる世界ではじめてのプロジェクトの現在の状況をお伝えします。

福島第一原子力発電所の廃炉に向けた
ロードマップ

福島第一原子力発電所の廃炉を進めるために、その基本原則、安全確保の考え方、具体的な工程等を記載した文書である「東京電力(株)福島第一原子力発電所の廃止措置等に向けた中長期ロードマップ」が2011年12月に決定されました。このロードマップは廃炉作業の進捗により適宜改訂が行われ、最近では2017年9月に改訂されました。







廃炉作業の進行状況(2017年12月現在)

過酷な事故を起こした1~4号機は現在、継続的な注水・冷却によって安定した状態を維持しています。廃炉に向けた作業も、一歩ずつではありますが前進しています。
それぞれの作業状況の概要を紹介します。
1号機
原子炉建屋カバーの解体を実施中です。また、ガレキ撤去計画立案のため、現場の調査を実施しました。原子炉建屋カバーの解体後、調査結果を踏まえて慎重にガレキ撤去を行い、2023年度を目処に使用済燃料の取り出し開始を予定しています。
2号機
2017年2月に使用済燃料プールへアクセスする西側構台の設置が完了しました。原子炉建屋上部の全面解体および建屋カバー他設置後、2023年度を目処に使用済燃料の取り出し開始を予定しています。
3号機
使用済燃料プールからの燃料取り出しに向けて、ガレキ撤去や除染、遮へい設置を終えました。現在、燃料取り出し用設備の設置作業が進められています。2018年度中頃からの使用済燃料の取り出し開始を予定しています。
4号機
2014年12月に使用済燃料プール内のすべての燃料:1533体の取り出し作業が完了して、リスクが大幅に低減しました。廃炉作業の重要なステップがクリアされました。

廃炉の進捗

燃料デブリの取り出しに向けて

燃料デブリの状態を把握するために、1~3号機の格納容器内にロボットを投入して調査を実施しました。3号機では、溶融物が固化したと思われるものや、複数の落下物、堆積物を確認できました。また、宇宙線由来のミュオンを用いた測定を実施し、圧力容器内部の状態を評価しました。並行して燃料デブリ取り出しに必要な技術開発を実施しています。
得られた情報から、燃料デブリの取り出し方針を決定しました。2021年内に初号機の燃料デブリ取り出しを開始する予定です。

 

*燃料デブリとは
事故により溶けた燃料が冷えて固まったもの。燃料だけでなく、燃料被覆管や炉内構造物等の混合物となっていると考えられます。

放射性廃棄物の処理・管理

炉作業の進捗に伴い発生する固体廃棄物について、今後10年程度の発生量予測に基づく保管管理計画を策定しました。 構内に一時保管している使用済保護衣等を焼却し減容するため、雑固体廃棄物焼却設備を設置して、運用を開始しました。

雑固体廃棄物焼却設備

汚染水対策

建屋周辺を流れている地下水が原子炉建屋等に流れ込み、新たな汚染水となっています。

汚染水に水を「近づけない」

建屋への地下水等の流入量は、地下水バイパス・サブドレン・陸側遮水壁・フェーシング等の重層的な対策により、対策前の400㎥/日程度から100㎥/日程度(2017年12月平均)まで低減しました。

汚染水を「漏らさない」

汚染水が海洋へ流出することを防ぐために、海側遮水壁を設置しました。その後、港湾内の放射性物質濃度は低下傾向が継続しています。
タンクの信頼性向上のため、フランジ型タンクを解体して、溶接型タンクへの置き換えを進めています。

汚染源を「取り除く」

タンク内に保管されている汚染水の浄化や地下トンネル内の高濃度の汚染水除去が進みました。
また、建屋内滞留水の処理を継続しており、2020年内に建屋内滞留水の処理を完了する予定です。

労働環境の改善
放射線量が低減されてきたことを踏まえ、作業時の負担軽減による安全性と作業性の向上のために、2016年3月に一般作業服で作業できるエリアを設定しました。その後、敷地内の約95%まで拡大しました。作業状況を確認しながら、一般作業服着用可能エリアを拡大していきます。