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大学院生等の研究活動紹介

 2010年からスタートした福島大学大学院共生システム理工学研究科博士後期課程では大学院生の「自然共生・再生プロジェクト」を含むプロジェクへの参加がカリキュラムに位置づけられています。本プロジェクトは研究の推進と同時に博士後期課程の学生への実践的な研究指導につなげることで、より実践的な経験と知識を有した地域に貢献できる人材の育成も目的としています
 プロジェクトに参加している大学院生及び学生の調査・研究活動を紹介します。

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柴崎研究室

研究テーマ「裏磐梯地域における地下水流動の
                 解析および将来予測」

 裏磐梯地域の地下水に関しては、解明されていることも少なく、研究もあまり行われていません。現在、五色沼湖沼群の3つの湖沼に水位計を設置し、水位を測るとともに、各湖沼のサンプルを採取し室内分析を行っています。これらの結果をもとに、裏磐梯地域の地下の水流動および湖沼との関係を明らかにし、今後の地下水流動についても3Dモデルでシミュレーションを行い、将来予測をしたいと考えています。
共生システム理工学類4年 西牧祐香
 

塘研究室

研究テーマ「檜原湖畔探勝路付近の池沼の
               底生動物相の解明」

 裏磐梯檜原湖畔探勝付近の(株)ニチレイの社有地内にある3つの池沼は人為的撹乱をほとんど受けていない可能性が高く、また、それぞれの池の大きさ、環境、植物相にも違いが認められます。現在月に1回の頻度でこれら3つの池沼の定期的な底生動物相調査、植物相調査、pHや水温などの環境測定を実施しています。今後は五色沼湖沼群でも同様の調査を行い、底生動物相の違いに影響を与える要因を明らかにしたいと考えています。
 
共生システム理工学類4年 増渕翔太

黒沢研究室

研究テーマ「幻の植物イワキアブラガヤのDNA分析」
 イワキアブラガヤ(Scripus hattosianus)は福島県耶麻群磐梯町大寺発電所付近で1925年に採集された標本に基づき、牧野富太郎によって1933年に発表された植物です。1939年に戸ノ口で採集された標本を最後に現在まで確認されておらず、現在は絶滅したと考えられており、十数枚の押し葉標本だけが現存しています(その内1枚が福島大学生物標本室に保管されています)。また、イワキアブラガヤによく似た植物が北米に広く分布していることはわかっていますが、標本から両者の形態を区別することは困難で,その実態は明らかになっていません。現在は北米からの帰化植物であるという説と、北米とは隔離して分布していた絶滅種であるという説があり、決着を見ていません。
 私たちは残された押し葉標本の一部からDNAを抽出し、”幻の植物”であるイワキアブラガヤの分類を再検討することを目的に研究を行っています。
     

研究テーマ「葉を失ったイチヤクソウ」
 腐生植物とは、根に共生する菌根菌から有機物を吸収し、有機栄養を得る能力を持った植物のことです。イチヤクソウ属植物もその多くが腐生植物でああると考えられていますが、他の植物と同じように緑色の葉をもち、光合成も行います。イチヤクソウ(Pyrola japonica)は、県内に広く分布しており、福島大学キャンパス内をはじめとした様々な場所で見られます。一方、これとよく似ていながら、葉がほとんど退化したものをヒトツバイチヤクソウ(P,japonica F,subaphylla)と呼び、現在はイチヤクソウの品種として区別されています。中には葉を持たない個体も多くみられ、このようなこのような個体は、他のイチヤクソウ属植物と比較して腐生的な性質が強く、光合成はほとんど行わないと考えられます。まさに劇的な変化と言えるでしょう。しかし、この不思議な植物についての研究はほとんどなく、実体は未だ明らかになっていません。
 これまでの調査で、ヒトツバイチヤクソウは基本的に植物体が赤いこと、葉のサイズに変異が大きいこと、福島県内では磐梯朝日国立公園内などの数ヶ所で生育地が確認されているに過ぎず、稀な植物であることがわかってきました。今後はDNA解析、生活史、生育環境のどの調査から、ヒトツバイチヤクソウの正体と、分類や生態を明らかにしたいと考えています。
              

共生システム理工学研究科 1年 首藤光太郎
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福島大学 共生システム理工学類

〒960-1296
福島県福島市金谷川1番地

プロジェクト代表
塘 忠顕
thrips-tsutsumi@sss.fukushima-u.ac.jp

お問い合わせ先

 磐梯朝日遷移プロジェクト
 事務担当:鈴木
 bandai.asahi.seni.p@gmail.com