雪虫(ユキムシ) of 塘研究室


ここで言う「ユキムシ」とは,専ら冬の雪上に出現して活動するカワゲラの仲間とハエ類の仲間のことです。フォレストパークあだたらの代表的なユキムシは,クロカワゲラの仲間3種とガガンボダマシ,クモガタガガンボ,ユキユスリカ,トビムシです。

2010.04.01
フォレストパークあだたらのユキムシ相をホームページにアップしました。
2008.03.01
フォレストパークあだたらユキムシマップ(A3版リーフレット,裏面はチョウ類マップです)を作成しました。詳しくはフォレストパークあだたらにお問い合わせ下さい。

IMG_3806.JPG

ユキクロカワゲラ Eocapnia nivalis Uéno(カワゲラ目クロカワゲラ科)

ユキクロカワゲラ(体長8〜9mm)はフォレストパークあだたらにおける最もポピュラーなユキムシで,発生のピーク時にはおびただしい数の個体が渓流脇から林内の雪上を歩き回る姿が見られます。12月から3月まで長期間にわたって出現しますが,産卵は2月頃で,3月下旬の雪上を歩き回るのは雄ばかりです。雌雄ともに翅はありません。杉田川上流部には無翅の別種,ハダカクロカワゲラ属Apteroperla sp.の一種が見られます。

ユキユスリカ.jpg

ユキユスリカの仲間 Chironomidae Gen. sp.(ハエ目ユスリカ科)

ユキユスリカの仲間(体長3〜7mm)は1月から3月まで見られます。雪上に止まっていても,近くにいくと飛んでしまいます。場所によってはたくさんの個体が雪上に集まっている場合もあります。エリユスリカ亜科だと思うのですが,調べたことはありません。

クロカワゲラ属.jpg

クロカワゲラ属の一種 Capnia sp.(カワゲラ目クロカワゲラ科)

クロカワゲラ属の一種(体長7〜9mm)はフォレストパークあだたらの雪上に現れる代表的なクロカワゲラの中では最も少なく,また最も遅くに出現する種です。3月に入ってから見ることが多く,4月になっても見られる場合があります。

ミジカオクロカワゲラ.jpg

ミジカオクロカワゲラ Eucapnopsis stigmatica Okamoto(カワゲラ目クロカワゲラ科)

ミジカオクロカワゲラ(体長5〜9mm)はフォレストパークあだたらの雪上に現れる代表的なクロカワゲラです。ユキクロカワゲラに少し遅れて,年明けから出現し,3月いっぱいまで見られます。個体数はユキクロカワゲラほど多くはありません。翅があり,2本の尾毛が短いことが特徴です。長い翅はありますが,飛んでいるところは見たことがありません。樹の幹を登っているところもよく見かけます。

ガガンボダマシ♀.jpg

イマニシガガンボダマシ Kawasemyia imanishii (Tokunaga)(ハエ目ガガンボダマシ科)

ガガンボダマシの仲間の中にも,雪上に現れる種類がいます。イマニシガガンボダマシ(体長4〜5mm)の雄には体と同じくらいの大きさの翅がありますが,雌には写真のように痕跡的な翅しかありません。フォレストパークあだたらでは,12月にも見られますが,1月〜3月に多いようです。ちなみに,ガガンボダマシ科の成虫にはガガンボ科のそれとは異なり,単眼があります。

クモガタガガンボ.jpg

クモガタガガンボの仲間 Chionea sp.(ハエ目ガガンボ科)

クモガタガガンボ(体長5〜7mm,正確な種名は分かりません)はガガンボの仲間で,雌雄ともに完全に翅がありません(前翅はありませんが,後翅が変化した平均棍はしっかりとあります)。雪の上をゆっくりと長くやや太い足で歩く姿はクモを思わせます。写真は雄で,腹部末端が大きな把握器になっていますが,雌の腹部末端は先細りの形をしていますので,雌雄の区別は簡単です。フォレストパークあだたらでは12月から3月まで見られます。

フォレストパークあだたらの昆虫相