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  震災は終わっていない
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Koji Nagahata


archieves
 この年末は、調査のため、神戸で過ごした。
 暦の上では、正月は確実に近づいてきているのに、街の雰囲気が、それに従っては盛り上がってこないといった感じであった。お飾りを売っている出店は、例年に比べて少なかったようだし、正月用の餅の売れ行きも、よろしくなかったらしい。ある人曰く、「新年が来るといったって、カレンダーが新しくなるだけで、状況は何も変わらないんだから」。
 外部の人にとって、阪神大震災は、もはや歴史の中の一コマとして語られるものになりつつあるが、震災にあった当事者達は、依然としてその中を生きている。そして、当事者と外部の人では、意識に大きな隔たりができてきている。
 震災はまだ終っていない。震災を過去の出来事としてしまうのではなく、現在進行している事件として、つき合っていく必要があるのではないか。


(初出:西日本新聞1996年1月14日付)




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