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  地域創造24巻1号 編集後記
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Koji Nagahata


archieves
 『福島大学 地域創造』第24巻第1号をお届けします。  本号では,論文4編,調査報告4編(註:本稿執筆時は「調査報告2編,資料2編」でしたが,その後原稿種類の変更があり「調査報告4編」となったため,この部分は校正時(9月24日)に修正しました)を掲載いたしました。ご執筆いただいた方々に御礼申し上げます。本誌の規定上,「論文」はレフェリー制となっております。快く査読をお引き受け下さいました方々にも感謝申し上げます。
 と,以上の毎号恒例の雛形通りの文章を書いているのが,2012年8月10日。この文章を書いている時点で,本号に関する情報で私の手元に届いているのは「『地域創造第24巻第1号』応募状況について」と題する資料1枚と,現在査読が進行中であるという進捗状況の報告,そして過去2年分の『編集後記』です。
 広辞苑によれば,「後記」とは「書籍などで,本文の後に記すこと。また,その記した文章。」のこと。この語義からわかるように,編集後記は必ずしも時間的に編集の「後」に書かれる必要はありません。編集作業が終わる「前」に書かれた後記の場合,その号に掲載された本文の内容について十分に踏まえた記述が(でき)ないというだけのことです。
 さて,手元に届いている資料を見ると,前巻1号の編集後記で後藤忍さんは「同じ被災者,被ばく者としての視点を常にもち,真の地域復興に貢献できるような研究や提言が,この『地域創造』からも発信されていくことを願っています。」と書いています。しかし,「うつくしまふくしま未来支援センター」なる組織が立ち上がり,山を切り崩し,新たな建物まで増設されている今,そのような発信は,おそらく,そちらの組織の役割ということになっていくのでしょう。では,地域創造支援センターの役割は?
 今時,外部からの資金を調達し,新たな箱物を増やすことこそが地域の発展であるという考えを,何の疑いもなく受け入れる人は少ないのではないでしょうか。そして,地域の特性を活かし,地域の力を最大限に活かせるようにすることこそが,真の地域の発展につながるという考え方が,広く受け入れられるようになってきているように思います。地域の力を活かさない一時の繁栄は,やがて衰退につながるということが痛いほど明らかとなってきたからのことでしょう。ここで,「地域」という語を「センター」と置き換えると ―― 紙幅の都合上,以下は読者の皆様のご想像にお任せしたいと思います。
 最後に,研究協力課(資料室)を始め,本誌刊行にご尽力いただいた方々に,この場を借りて厚く御礼申し上げます。 (共生システム理工学類 永幡 幸司)

(初出:地域創造,24(1),2012)




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