福島大学共生システム理工学類

表面反応化学研究室(大橋研究室)

研究概要(2017/6/18更新)


研究室の成り立ち

空の研究室   表面反応化学研究室は2015年10月に正式に立ち上がりました(2015年4月に赴任、9月までは準備期間)。最初は左の写真のように、何もない部屋でした。

研究室写真   今はこのようになんとか実験台を作ることができました。研究室名は大橋の出身研究室である、九州大学大学院理学研究院化学部門の「無機化学研究室/無機反応化学研究室」より、さらに表面に特化して研究する意志をこめて命名しました。表面での反応は、化学の狭い領域にとどまらず、物理・生物・地学の分野にまたがって存在するものも多いです。表面反応化学研究室は、このような「境界領域研究/分野横断型研究」が主眼になります。

研究のコンセプトとテーマ:

  「化学の立場から“エネルギー”を考える」

  現代社会を生きていく上でエネルギー/電気は必須です。日本という島国の現状を考えたとき、エネルギー安全保障は永遠の課題です。日本にとっての「真のエネルギーミックス」を考える上で、それぞれのエネルギー源の問題点を解決した上でテーブルに載せることが必要です。表面反応化学研究室では、地熱発電、バイオマス発電、火力発電、原子力発電での問題点を取り上げ、特に化学的な表面反応に関わる問題点に取り組んでいきます。


研究テーマ1:地熱発電 ―スケール問題―

  再生可能エネルギーの中で「地熱」に力を入れています。地熱発電における多くの問題の中で、スケール問題について研究を行っています。スケール生成メカニズムやスケールを生成させない方法など、実験をはじめました。詳しくは研究室にお問い合わせ下さい。

研究テーマ2:火力発電 ―CO2の有用物質への変換―

  (地球温暖化が起きているかどうか否か、CO2を排出することが良いか悪いかのスタンスは別として)国はCO2を減らす施策を出しています。パリ協定ではCO2の削減目標が設定されています。CO2の化学変換は社会貢献・世界貢献・環境問題貢献として多くの研究者がやってみたいテーマのひとつです。
  一方、CO2はすでに民間企業によって、以下の反応式で示されるようなメタノール合成プラントが稼働中のようです。

CO2 + 3H2 --> CH3OH + H2O


表面反応化学研究室では、この先の難関反応であるエタノール合成を不均一系触媒で目指す予定です(これからスタート、研究立ち上げ中、新しい研究)。

2CO2 + 4H2 --> CH3CH2OH + H2O


一見、有機化学の法則を無視した、でたらめな反応に思えますが、このような反応を進めるのが触媒です。夢のような反応を目指します(複数の大学/企業とのコラボレーション)。

研究テーマ3:バイオマス発電と木質バイオマス

  木質バイオマスを考える上で重要な、抽出成分を高付加価値化成品に変換する触媒的合成を目指しています(小井土特任准教授をはじめとする多くの理工の教員とのコラボレーション)。
  と同時に、福島県の木質バイオマス利用の上でどうしても考えなければならない放射性セシウムに関する研究も行っています(次のテーマ4参照)。

研究テーマ4:原子力発電 ―放射性セシウムの封じ込めの研究―

  福島第一原発事故によって、多く降り注いだ放射性セシウムの処理について、環境省を旗振り役に、様々な企業/大学の多くの研究者がいろいろな視点から研究しています。放射性セシウムに関しては科学者の責務として行うべきテーマだと思っています。表面反応化学研究室では、放射性セシウム(134,137Cs)の処理に関して様々な視点で研究を行っています(複数の大学/企業とのコラボレーション)。
  また、農業を行う上で放射性セシウムは常に問題になっています。日本の農業の中心になっているイネについて、自前で育てるテーマが進行中です。それと同時に、汚染水処理の段階で問題になっているトリチウム(3H)の基礎物性に関する研究を行っています(現在は設備の問題でテーマ凍結中)。

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連絡先:大橋弘範
[at]を@に替えてメールをお送り下さい。
h-ohashi[at]sss.fukushima-u.ac.jp
福島大学 理工研究棟 3階 305室