福島大学キャンパスの保全 of 塘研究室

 平成20年度に金谷川キャンパス内生物の現地調査,文献調査,標本調査を行い,多くの生物を確認し記録することが出来ました。それと同時に,金谷川キャンパスが多数の絶滅危惧生物や希少生物の生息・生育地となっていることも改めて明らかになりました。金谷川キャンパスの生物多様性を高め,環境的価値・景観的価値・教育的価値を上げることを目的に,金谷川キャンパスの生物多様性保全の枠組み(提案),及び金谷川キャンパス第一種保全地域・第二種保全地域(案)を作成しました。
【調査・提案作成者:黒沢高秀(共生システム理工学類准教授)・塘 忠顕(共生システム理工学類准教授),菊池荘蔵(経済経営学類教授)】
 現在,この提案に従って金谷川キャンパスの管理を行っています。

<福島大学金谷川キンパスの生物多様性保全の枠組み(提案)>
1.この枠組みは、福島大学金谷川キャンパスの生物多様性を高め,ひいてはキャンパスの環境的価値・景観的価値・教育的価値を上げることを目的としている。

2.生物系の教員を中心に,希少生物保全アドバイザ-会議を設ける。

3.金谷川キャンパスに,第一種保全地域と第二種保全地域を設ける。

第一種保全地域:文化財保護法(法律第214号,1950)にもとづく天然記念物,絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律(「種の保存法」,法律第75号,1992)にもとづく国内希少野生動植物種及び国際希少野生動植物種,環境省版レッドデ-タブック掲載絶滅危惧生物,福島県版レッドデ-タブック(昆虫等県内の調査が進んでいない生物の場合は必要に応じて他県版のレッドデ-タブック)掲載絶滅危惧生物の生息・生育に直接関わる地域。
 開発行為の対象から計画段階で外すことを原則とする。立木の伐採,大規模な(業者に依頼するような)枝打ち,下草刈り,土石の採取,埋め立て,植樹を行う際は,希少生物保全アドバイザ-会議に意見を聞き,これに従って必要な措置を講ずる。
 希少生物保全アドバイザ-会議は,希少生物のモニタリングを行い,これに基づき地域の見直しを随時(数年に一度程度)行うとともに,間伐,下草刈りなど,必要な管理を提言する。

第二種保全地域:森林,草原,湿地など,構内の自然環境として重要な地域。
 開発行為,立木の伐採,大規模な枝打ち,下草刈り,土石の採取,埋め立て,植樹を行う際は,希少保全アドバイザ-会議に意見を聞き,これに従って必要な措置を講ずる。

4.金谷川キャンパスでは,構内や周辺の生物多様性を脅かすおそれのある環境省指定の要注意外来生物の栽培,飼育,方逐を行わない。緑化の際もできるだけそのような要注意外来生物を用いないことを心がける。希少生物保全アドバイザ-会議は,外来生物のモニタリングを行い,「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律」(外来生物法)が定める特定外来生物や要注意外来生物の駆逐など,必要な管理を提言する。