福島大学放射線計測チーム

 

福島盆地周辺地域の環境放射線量率地図:その2

(2011年8月12日再測定の結果)(平成23年10月16日掲載)


 2011年8月12日に福島盆地周辺地域の環境放射線量率を3月25日と同じ測定地点で再測定しました.

 図1は8月12日の測定値に基づいて描いた等値線図です.全ての測定地点の放射線量率を平均すると0.83μSv/hとなります.図1を見ると,阿武隈川東方の山地と信夫山は相対的に高い放射線量率を示しています.それに対して,福島盆地の西部は相対的に低い放射線量率となっています.3月25日測定の環境放射線量率地図(図2)と見比べると,放射線量率の値はもちろん異なりますが,相対的に高い地域や低い地域の分布はほぼ同じです.



図1 2011.8.12 測定結果

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図2 2011.3.25 測定結果(再掲)



 図3は放射線量率の減少の程度を示す等値線図です.この値は,8月12日の測定値を3月25日の測定値で割ったものです.全ての測定地点の値を平均すると0.21となります(つまり8月12日の測定値が3月25日の値の約1/5になったということ).図3の値が小さい,つまり放射線量率が相対的に大きく低減している地域は,飯坂町平野付近,阿武隈川東の本内付近です.一方,図3の値が大きい地域は,福島盆地南西部の荒川上流域です.

 もちろん全ての測定地点で放射線量率は低減していますが,値そのものは0.10~0.38と幅があります.値に幅があるだけでなく,複雑な分布になっているものの地形図の等高線のように等値線を描くことができます.このことは,地表の水の流れや風などの影響により,放射性物質の移動の度合いが異なることを示していると考えられます.



図3 2011.3.25 と 8.12 の変化率分布

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